サステナビリティイベント「SDG Tech Awards 2021」とは?受賞した13社を紹介(中編)

全3回となる特集記事で、2021年11月に開催されたSDG Tech Awardsについて解説します。サステナテックを表彰するこのイベントでは、13社が受賞しました。イベントについて解説した前編に続き、中編となる本記事では、13社の受賞者のうち6社を紹介します。

SDG Tech Awardsとは?

SDG Tech Awardsは北欧最大のサステナビリティイベントで、気候変動やグリーン経済への移行に関するCOP26の議論に参加することを目標としています。2021年のイベントは、11月10日にデンマークのコペンハーゲンで開催されました。スタートアップや中小企業、大企業が生み出すサステイナブルな技術を表彰し、組織を超えて共創するコミュニティを構築しています。

13部門の受賞者

今大会では、600社以上の候補者の中から65社以上がファイナリストとなり13社が受賞しました。SDG Tech Awardsが設定する13の部門で1社ずつ選ばれています。

「サーキュラーエコノミー」部門:Ege Carpets

Image: Ege Carpets / official website

Ege Carpetsは、1938年創業のカーペットメーカーです。デンマークのヘアニングに本社があります。ヨーロッパ最大のカーペットメーカーの一つであり、特に環境や持続可能性に配慮した高品質な製品で有名です。

使用済みプラスチックのようなリサイクル素材から製品を作るだけでなく、継続的にコア製品や生産プロセスの最適化に努めています。

ファイナリスト

Ege Carpets(受賞)

Sould

AquaGreen

Trebo

Re-Match

「サステイナブルな都市」部門:Aguardio

Image: Aguardio / Spring Wise

Aguardioは、2017年設立のスタートアップです。水の使用量やエネルギー消費を減らせるシャワー用のデバイスを開発しました。デバイスは、電源やインターネット接続の設備不要でシャワールームの壁に簡単に取り付けることができます。シャワーの使用時間の表示に加えて、QRコードを携帯のカメラで読み取ることで、水の使用量などのデータを確認することも可能です。

Aguardioでは、このデバイスの他にトイレの水漏れセンサーも開発しています。検知が難しい水漏れを早期に発見することで、修理費用を低く抑えることができます。

ファイナリスト

Aguardio(受賞)

Dryp

Aerial Tools

Eco Island

WOHN

「食品とアグテック」部門:Hydract

Image: Hydract / official website

Hydractは2008年設立のデンマークの上場企業です。飲料業界に向けて、醸造所で必要となる水圧バルブを製造しています。

水は圧縮されないため、従来の空気圧バルブと比較して急激な圧力変化による影響を受けにくく、設備の総合効率が高まります。同社ウェブサイトによれば、Hydractの水圧バルブを用いることでエネルギー消費を90%以上減らすことが可能です。

ファイナリスト

Hydract(受賞)

Hydrovertic

Tempty Foods

Seasony

Faerm

「エネルギー」部門:Wavepiston

Image: Wavepiston / official website

Wavepistonは、発電および海水からの淡水生成をするために波力エネルギーシステムの開発に取り組んでいます。2021年現在、2つの実証プロジェクトを実行中です。

電力変換技術を実証するためにスペイン、グラン・カナリア島で行われているプロジェクトでは、長さ200m、幅8mの波力発電システムが用いられ、年間547,000kWhの電力生産が予測されています。また、電力変換に加え淡水生成を実証するためのプロジェクトは、イタリア、ピアーナ島で実施されており、年間350,000kWhの電力生産と、28,000㎥の淡水の生成が見込まれています。

ファイナリスト

Wavepiston(受賞)

Pesitho

Exowave

Dall Energy

Heliac

「消費財」部門:Last Object

Image: Last Object / official website

Last Objectは2018年創業の企業で、使い捨てアイテムに代わる製品を開発・販売しています。

創業者のIsabel Aagaard氏は29歳のデザイナーで、最初に手がけたのは再利用可能な綿棒LastSwabでした。通常の綿棒はわずか数秒しか使用されず、毎年5,000億本が使い捨てられて環境破壊に繋がります。この問題を解決するLastSwabは、海洋プラスチックから製造されており、洗浄や保管が簡単でデザイン性にも優れているので長く使用することができます。

ファイナリスト

Last Object(受賞)

Plazzo

AllMatters

Copenhagen Cartel

Real Relief

「デジタルソリューション」部門:Agroclimatica

Image: Agroclimatica @agroclimatica / Twitter

Agroclimaticaは、2018年創業で中米ニカラグアに本社を置くフィンテック・スタートアップです。農業金融における気候リスクの特定と数値化を行なうデータプラットフォームを提供しています。

気候、土壌、生物季節、家畜などのデータ解析を通して、特定の地域や作物、生産者などの情報を分析し、リスク管理や運用コストの削減、農業金融ポートフォリオの拡大などに貢献します。SDGsの「貧困をなくそう」「飢餓をゼロに」「働きがいも経済成長も」に取り組む企業として、国連開発計画が運営するアクセラレータープログラムにも採択されていました。

ファイナリスト

Agroclimatica(受賞)

ReFlow

NaviBlind

Graitor

Robotto

まとめ

SDG Tech Awards 2021を解説する特集の中編となる本記事では、13の受賞部門のうち6部門の受賞企業を紹介しました。1930年代創業の伝統的企業から、設立3年以内のスタートアップまで、規模や業種によらずさまざまな方法でサステナビリティに取り組んでいることがわかりました。

後編では、残り7部門の受賞企業を紹介します。

海外スタートアップとの協働や海外進出、サステナビリティに関する事業相談などがございましたら、お気軽にお問い合わせください。

サステナビリティイベント「SDG Tech Awards 2021」とは?受賞した13社を紹介(前編)

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