サステナビリティイベント「SDG Tech Awards 2021」とは?受賞した13社を紹介(後編)
全3回となる特集記事で、2021年11月に開催されたSDG Tech Awardsについて解説します。サステナテックを表彰するこのイベントでは、13社が受賞しました。前編ではイベントの概要を解説し、中編では受賞企業13社のうち6社を紹介しました。後編となる本記事では、受賞企業7社を紹介します。
目次
- SDG Tech Awardsとは?
- 13部門
- 「研究」部門:NatuRem Bioscience
- 「ベストスタートアップ」部門:Leap (Beyond Leather)
- 「ベストカンパニー」部門:Siemens Gamesa
- 「一般投票」部門:MATE.Bike
- 「サステナビリティリーダー / 企業」部門:Jesper Nygard – CEO at Realdania
- 「サステナビリティリーダー / スタートアップ」部門:Nima Tisdall – Founder and CEO of Blue Lobster
- 「サステナビリティリーダー / 中小企業」部門:Thomas Norman Canguilhem – Co-Founder & International CEO at EcoTree
- まとめ
SDG Tech Awardsとは?
SDG Tech Awardsは北欧最大のサステナビリティイベントで、気候変動やグリーン経済への移行に関するCOP26の議論に参加することを目標としています。2021年のイベントは、11月10日にデンマークのコペンハーゲンで開催されました。スタートアップや中小企業、大企業が生み出すサステイナブルな技術を表彰し、組織を超えて共創するコミュニティを構築しています。
13部門
今大会では、600社以上の候補者の中から65社以上がファイナリストとなり13社が受賞しました。SDG Tech Awardsが設定する13部門で1社ずつ選ばれています。
「研究」部門:NatuRem Bioscience
NatuRem Bioscienceは、健康的で持続可能性に配慮した手頃な価格の微細藻類ベース食品および飼料用成分を開発している企業です。
伝統的な食品製造の工程と、工業的な発酵技術、微細藻類のバイオテクノロジーを組み合わせることで、たんぱく質や健康的な脂質、繊維が豊富な食品・飼料原料を生産しています同社の製品は、動物の肉やパーム油など、サステイナブルでない製品の代わりになる可能性があります。
ファイナリスト
「ベストスタートアップ」部門:Leap (Beyond Leather)
Leapは、2016年創業のスタートアップBeyond Leather Materialsが開発した、従来の革に代わる植物性の革製品です。
Leapの主な原料はリンゴの廃棄物で、食品廃棄物を減らすと同時にサステイナブルな植物ベースの革が生産できます。製品の80%以上はバイオベースの成分で、そのうち50%以上をリンゴが占めていますが、将来的には完全な自然素材にすることを目指しています。
ファイナリスト
・Leap(受賞)
「ベストカンパニー」部門:Siemens Gamesa
Siemens Gamesaは、風力発電の世界的なリーダーで、低価格かつ信頼のおける再生可能エネルギーの提供を目指しています。1976年の創業で、スペインに本社があります。風力タービンや風力発電所の開発・運営を主軸とし、これまでに洋上風力発電や太陽光発電のプロジェクトも行なっています。
また、発電の他に蓄電にも取り組んでおり、熱による電力貯蔵システム(Electric Thermal Energy Storage)も開発しています。
ファイナリスト
・Siemens Gamesa(受賞)
「一般投票」部門:MATE.Bike
MATE.Bikeは、デンマーク発のデザイン性に優れた電動自転車を開発する企業です。世界一ともいわれる自転車都市コペンハーゲンで、2016年に創業されました。ヨーロッパやアジア、アメリカなど、39か国で販売されています。
モデルMETA Xは、フルサスペンション、内蔵バッテリー、750Wのモーターなどを搭載し、3ステップでの折り畳みが可能です。SDG Tech Awards 2021の他に、Danish Design Award 2021などでも評価されています。
ファイナリスト
・MATE.Bike(受賞)
「サステナビリティリーダー / 企業」部門:Jesper Nygard – CEO at Realdania
受賞したJesper Nygard氏は、約17万人の会員を持つデンマークの慈善団体RealdaniaのCEOです。Realdaniaは、1851年に設立された信用住宅ローン機関をルーツとする歴史のある団体で、2000年に合併されるまで約150年間、不動産ローンの借り手の住宅ローン組合として活動していました。
現在は、投資資産の収益を元に慈善活動に従事しており、主な事業領域は建設や造園、修復工事、都市開発、農村地域開発などの空間設計と建築です。湾岸部などの都市機能開発や、高齢者のためのコミュニティセンター、歴史的建造物の保護、気候変動に関するレポートやイベントなど、地域に根ざした活動をしています。
ファイナリスト
・Jesper Nygard – CEO at Realdania(受賞)
・Camilla Hjort Pagh – Senior Vice President Global QA, RA & Sustainability at Coloplast
・Anders Overgaard Bjarklev – President at Technical University of Denmark
・Anne-Marie Levy Rasmussen – CEO at Innovation Fund Denmark
・Torben Möger Pedersen – CEO at PensionDanmark
「サステナビリティリーダー / スタートアップ」部門:Nima Tisdall – Founder and CEO of Blue Lobster
Nima Tisdall氏は、2018年創業のスタートアップBlue Lobsterの創業者・CEOです。2021年のForbes 30 Under 30 in Europeにも選出されています。
Blue Lobsterは、漁師や魚屋と消費者を直接つなぐ、魚介類のeコマースプラットフォームです。地産地消のニーズの高まりに対応し、消費者はBlue Lobsterを通して、地元の漁師や魚屋とコミュニケーションを図り、地域で捕れた新鮮な魚を買うことができます。
ファイナリスト
・Nima Tisdall – Founder and CEO of Blue Lobster(受賞)
・Rasmus Elsborg-Jensen – CEO & Founder at Reflow
・Emil Bender Lassen – Co-founder at Home.Earth
・Katja Grothe-Eberhardt – CEO & Founder at Klimate
・Jon Sigvert – CEO & Co-founder at Reel
・Servet Coskun – CTO at Seasony
・Isabel Aagaard – Founder at LastObject
・Lili Dreyer – CEO & Co-founder of Wair
「サステナビリティリーダー / 中小企業」部門:Thomas Norman Canguilhem – Co-Founder & International CEO at EcoTree
Thomas Norman Canguilhem氏は、フランスとデンマークを拠点とする森林の保護や育成をするスタートアップ、EcoTreeの共同創業者でインターナショナルCEOです。
2019年に設立されたEcoTreeは、企業や個人が木を所有し、生態系の多様性保護や二酸化炭素回収に貢献できる仕組みを構築しています。所有された木は、生態系や環境に対する役目を終えると木材として伐採され、そのすべての収益が所有者に与えられます。EcoTreeには、30,000人以上の顧客と600社以上の企業が参加しています。
ファイナリスト
・Thomas Norman Canguilhem – Co-Founder & International CEO at EcoTree(受賞)
・Nicolai Jaepelt – Crowdfunding chef at Coop
・Emil Stigsgaard Fuglsang – Co-Founder & COO of Matter
・Thomas Heltborg Juul – Group CEO of GreenMobility
まとめ
SDG Tech Awards 2021を解説する特集の後編となる本記事では、13の受賞部門のうち7部門の受賞企業を紹介しました。微細藻類食品、植物性の革、電動自転車や森林保護など業種・方法はさまざまですが、効果的かつ個性的な取り組みを行なう企業ばかりでした。
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