専門特化型のスタートアップ育成！イギリスのアクセラレータープログラム
アクセラレーターとは、スタートアップや新規事業を成長させるためのプログラムです。３か月から半年程度の比較的短期間で数年分の成長を促進する、ビジネス版のブートキャンプといえます。本記事では、フィンテックやセキュリティなど専門色が特徴的なイギリスのアクセラレータープログラムをご紹介します。
目次
アクセラレータープログラムとは
アクセラレーターとは、スタートアップや新規事業を成長させるためのプログラムです。３か月から半年程度の比較的短期間で数年分の成長を促進する、ビジネス版のブートキャンプといえます。
アクセラレーターに加入すると、資金調達の機会やメンターが得られ、スタートアップのその後の成長に大きな影響を受けます。
アクセラレーターで得られるもの
シードファンディング
多くのアクセラレーターではプログラム参加企業にシード投資のオファーを出します。スタートアップは、株式などのエクイティを対価として投資を受けることができます。アクセラレーターは、投資した企業が成長することで運営・投資資金を得ます。
ワークスペース
スタートアップでは作業に没頭する時間が必要なため、集中できる仕事場を提供するアクセラレーターも多いです。コワーキングスペースやプライベートオフィスなど、目的に応じたワークスペースが提供されます。
トレーニング
プログラムでは、さまざまなトレーニング機会を設けています。重要なトレーニングの筆頭が、メンタリング制度です。成功した創業者や投資家、スタートアップを成長させる専門家などがメンターとなります。メンタリングの他にも、セミナーやワークショップ、ピッチの練習などの機会があります。
ネットワーキング
アクセラレータープログラムには、同時に複数のスタートアップが加入し、同期として切磋琢磨します。アイデア交換など同期のイノベーターたちとの交流は、将来的な成功やパートナーシップにつながり、プログラム卒業後に交流を持つことも可能です。また、同期だけでなく、成功した企業の創業者と働くこともあります。
ピッチ機会
プログラム参加企業は、投資家獲得を目的としたピッチを行う機会が得られます。通常はそういう機会を獲得するのも困難ですが、アクセラレーターに参加することで有望な投資家にアピールすることができます。
イギリスのアクセラレータープログラム
イギリスのスタートアップ情報をまとめ分析しているBeauhurstの調査によると、イギリスでは130のアクセラレーターが186のプログラムを運営し、これまでに5,800以上の参加者がいます。
地域による特徴
イギリス国内でもっとも多くのアクセラレーターがあるのはロンドンで、全体の65%に当たる117のプログラムが運営されています。しかし、参加者は比較的分散しており、ロンドンを本拠地とする企業は36%程度でした。一方で、スコットランドはアクセラレータープログラム数は少ないものの、プログラム参加企業はイギリス全体の15%を占めていました。
プログラムの期間
一般的なアクセラレータープログラムは3か月程度ですが、イギリスでも同様の傾向があり、12週間もしくは13週間のプログラムを合わせると全体の33%を占めます。次に多いのが約半年の26週間で、3番目に約1年の52週間が続きます。
アクセラレーターの専門領域
イギリスでは、77%のアクセラレーターが専門領域を持っています。もっとも多いのは「テクノロジー」で、全体の48%を占めます。「テクノロジー」の中には、「デジタル」「フィンテック」「ヘルスケア」「IoT」などの専門領域が並びます。次に多いのは10%を占める「インパクト」で、、「ソーシャルインパクト」や「サステイナビリティ」「教育」などの専門領域があります。
アクセラレーターの効果
プログラム参加企業と不参加の企業を比較すると、不参加企業の平均資金調達額が371万ポンド（約5.7億円）であるのに対し、参加企業は536万ポンド（約8.3億円）でした。また、資金調達前での企業価値（プレマネー・バリュエーション）の平均値は、不参加企業の762万ポンド（約11.8億円）に対し参加企業は1330万ポンド（約20.6億円）でした。
イギリスの有名なアクセラレーター
L Marks
L Marksは、ロンドン、マンチェスターおよびアメリカのオハイオ州に拠点を持つアクセラレーターです。ヨーロッパ、アメリカ、イスラエル、アジアと広い地域で70以上のイノベーションプログラムを運営しています。これまでに270以上のスタートアップを輩出し、資金調達総額は1200万ポンド（約18.5億円）に上ります。
卒業企業には、セールスフォースに買収されたBonobo AIや、運送のデジタル化をするLocalzなどがあります。
Barclays Accelerator
Barclays Acceleratorは、Techstarsが運営するフィンテックを専門領域としたアクセラレーターで、ロンドンとニューヨークに拠点があります。プログラム期間は13週間で、成功した参加者はデモデイに世界中のトップ投資家にピッチすることができます。また、選抜された少数の参加者は、ヨーロッパ最大級のフィンテック専門ワークスペースであるRise Londonをフルタイムで利用できます。
卒業企業には、basestone、Cuvva、DIGISEQなどがあります。
CyLon
CyLonは、サイバーセキュリティに特化したアクセラレータープログラムです。これまでに200名以上の起業家、100社以上の企業の成長をサポートし、卒業企業の企業価値は合計で10億ドル（約1144億円）を超えます。また、CyLonのコミュニティはグローバルに展開され、35か国から起業家が集まっています。
卒業企業には、Aiculus、TESSIAN、Immersive Labsなどがあります。
Founders Factory
Founders Factoryは、ロンドンを拠点とする2015年設立のアクセラレーターです。プログラム期間は半年で、参加企業には3万ポンド（約460万円）の資金が提供されます。パートナー企業には、保険会社のAvivaや、化粧品のL’Oréalなど大企業が名を連ねています。
投資先企業は200社を超え、そのうち45社以上がFounders Factoryのプログラムから誕生しました。
卒業企業には、nate、Perlego、Karakuriなどがあります。
まとめ
本記事では、イギリスのアクセラレータープログラムをご紹介しました。イギリスには、さまざまな専門領域を持つプログラムが複数存在します。海外スタートアップを調査する際にも、アクセラレーターの卒業生を検索すると優良企業を発見する手がかりになることもあります。
海外スタートアップとの協働や海外進出をお考えの際は、お気軽にお問い合わせください。
イギリスのスタートアップリスト「UK Healthcare 100」
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