サステナビリティを重視する海外のベンチャーキャピタルを紹介します(後編)

ESG投資をはじめとしたサステナブルビジネスへの投資拡大を受け、気候変動や環境問題に取り組むスタートアップやベンチャーキャピタル(VC)が注目を集めています。第3回となる本記事では、前回に続いてヨーロッパのサステナビリティを専門とするVCをご紹介します。

サステナビリティに特化したVC

近年はESG投資など環境領域への投資拡大によって、持続可能性に配慮したビジネスが経済的にも成功するようになってきました。実際に、世界経済フォーラムによるレポートでは、サステナブルな起業機会には10兆ドル(約1137兆円)のビジネス価値があり、10年間で3.95億人の雇用を生むと推定されています。

このような流れの中で、環境やサステナビリティに特化したVCが増えつつあります。

Big Idea Ventures

Image: Big Idea Ventures / official website

Big Idea Venturesは、代替プロテインや新しい食料生産システムなど食料分野に投資するベンチャーキャピタル兼アクセラレーターです。

同社が運営するThe New Protein Fund Ⅰは5000万ドル(約56.8億円)の規模で、植物・細胞ベースの肉、シーフード、乳製品など、動物性の肉や乳製品の代替となるタンパク質の開発に取り組む企業を支援しています。

一方で、Generation Food Fund Ⅰは、グローバルな食品サプライチェーンで持続可能性を推進するシリーズA以降の企業に投資を行っています。特に、プラスチックや二酸化炭素、水、廃棄物を削減する技術にフォーカスしており、運用金額は2.5億ドル(約284億円)です。

COREangels

Image: CORE Angels / official website

COREangelsは、世界規模で専門的にエンジェル投資を行なうVCです。2014年に、最初のエンジェルグループとしてREDangelsがスタートし、2019年にはCOREangels PortugalやCOREangels Madridなど複数のグループ企業の設立とともに、COREangelsが創業しました。

これまでに3000社以上のスタートアップを審査し、15か国60社以上に投資したうち10社がイグジットに成功しています。COREangelsのグループ企業の一つ、COREangels ESGでは環境、社会、ガバナンスの領域に取り組むシードステージのスタートアップに特化した投資を行なっています。

Demeter

Image: Demeter / official website

Demeterは、環境保護を目的とした、フランスの主要なプライベートエクイティ企業兼ベンチャーキャピタルです。革新的なスタートアップ、高い成長率を持つ中小企業、インフラプロジェクトなど、あらゆるステージの企業に100万ユーロ(約1.29億円)から3000万ユーロ(約38.6億円)の支援を行なっています。

2005年の設立当初から、ESGやインパクト投資を投資戦略の中核に据えており、10億ユーロ(約1286億円)をその目的のために運用しています。Demeterの投資先企業によって、2020年には390万トンのCO2排出が削減され、430GWhの再生可能エネルギーが生産されました。

Impact Ventures

Image: Impact Ventures / official website

Impact Venturesは、社会的イノベーションにフォーカスしたハンガリーのインパクト投資ファンドです。経済的リターンと、持続的で測定可能な社会的インパクトの両方を追求しています。2018年から2023年までを投資期間とし、Impact Ventures ⅠとImpact ventures Ⅱの2つのファンドを運用しています。

Impact Ventures Ⅰは、1700万ユーロ(約21.9億円)を運用し、アーリーステージからグロースステージの企業を対象に投資しています。一方、Impact Ventures Ⅱの運用額は400万ユーロ(約5.1億円)で、より早い段階のシードステージからアーリーステージが対象です。

Future Energy Ventures

Image: Future Energy Ventures / Business Wire

Future Energy Venturesは、企業パートナーと世界的レベルのスタートアップをつなぐことで未来のエネルギー環境の構築を目指すベンチャーキャピタルプラットフォームです。ドイツ、イスラエル、シリコンバレーを拠点に活動しています。

エネルギーの未来を作るためには、直接的なエネルギー産業だけではなく異なるセクターとも連携する必要があるとの考えから、「エネルギーの未来」に加えて「都市の未来」「テクノロジーの未来」に注力しています。

MakeSense

Image: Make Sense / official website

MakeSenseは、一般人やスタートアップ、企業の持続可能で社会的な取り組みを支援するコミュニティプラットフォームです。これまでに、20万人の一般人、8000人の起業家、1万人の企業・団体職員が行動を起こすサポートをしてきました。

スタートアップにはインキュベーションを提供しており、プロジェクトを始めたばかりの起業家を対象とした4〜6週間のコースや、すでに走り出している事業を軌道に乗せることを目的とした1年間のコースなど、進捗段階に合わせたプログラムを提供しています。

まとめ

特集の第3回となる本記事では、サステナビリティを重視するヨーロッパのベンチャーキャピタルやプラットフォームを6社ご紹介しました。

これらの企業は、社会や環境への「インパクト」を投資プロセスの中心にしていますが、インパクトの測定方法や注力領域などは企業によってさまざまです。ESGやインパクト投資は比較的新しい概念ですが、企業の実践的活動を知ることで理解を深めることができます。

海外スタートアップとの協働や海外進出、サステナビリティに関する事業やレポート作成のご相談などがございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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