ヨーロッパのグリーンな製品を表彰するEuropean Green Awards(1)
European Green Awardsは、ヨーロッパの持続可能な開発に貢献する、グリーンで公正かつ革新的な製品、デザイン、グリーンマーケティング、および優れた業績を上げたチェンジメーカーを表彰するイベントです。本記事では、全3回に渡ってイベントと受賞者を紹介します。
目次
European Green Awardsとは?
European Green Awardsは、ヨーロッパの持続可能な開発に貢献する、グリーンで公正かつ革新的な製品、デザイン、グリーンマーケティング、および優れた業績を上げたチェンジメーカーを表彰するイベントです。
受賞者のエコで公平な功績を讃えるだけでなく、彼らが優れたサステナビリティの担い手で、未来の形成者であると国際的に認識してもらうことを目指しています。
運営団体
イベントは、非営利組織であるEuropean Institute of Applied Sustainability (EIAS)が運営しています。
EIASは、European Green Awardsのようなコンペティション、カンファレンス、セミナーや講演会の開催、レポートの作成などを通して、持続可能性を実現する学際的で革新的なソリューションを推進しています。
具体的には、以下の領域に焦点を当てています。
・環境意識と社会的意識の向上
・将来の持続可能性を担う若い才能と変革者への支援
・教育と研究における持続可能性の知識の伝達
・さまざまな分野における持続可能性の応用プロジェクトの実施
・サステナブルなソリューションを可視化し、それを普及させるためのコンペティションの開催
・個人や企業による環境に配慮した行動の促進
・企業とブランドのサステナブルなマーケティングとコミュニケーションの促進
また、EIASは次世代や若いリーダーを特に重視しています。彼らにサステナビリティの国際的な基準や、サステナビリティの分野における新たな試みを伝えるために、大学、高校、研究機関と密接な協力関係を築いています。
2021年の受賞者
2021年大会では21社がノミネートされ、15社が受賞しました。ここでは、受賞者の一部を紹介します。
ブティックホテル部門:Landgut Stober
Landgut Stoberは、ドイツのハーフェルラントの田園地域にたたずむホテルです。
廃墟を改装して作られたこのホテルには、快適な300の客室とモダンでありながらも歴史を感じさせる30の広間があり、多様な用途で利用することができます。また、食材は地域の新鮮なものを使うなど、包括的なサステナビリティのコンセプトを前向きに実現しています。
Landgut Stoberは、それらの取り組みを詳細な報告書にまとめて宿泊客と共有しており、その透明性と社会的側面が高く評価されました。2017年にはヨーロッパで事実上最も環境に優しいホテルとして、The Green Hotelier Awardも受賞しています。
広告(印刷)部門:Studio Tumpić-Prenc
Studio Tumpić-Prencは、広告デザインを行なうクロアチアの企業です。
グリーンアワードを受賞した広告は、クジラをモチーフに海洋汚染問題の深刻さと解決への取り組みの必要性を訴えています。広告の中のクジラは、空気と水の代わりに大量のプラスチックゴミを吐き出しており、海の生き物の体内にプラスチックが選択の余地なく入り込んでしまう現実を表現しています。
審査員からは、「驚きと美しさと同時に警鐘を鳴らしている、非常にインパクトの強い表現」と評価されました。
マーケティング(コーポレイトブランディング)部門:Undeutsch Media
Undeutsch Mediaは、アップサイクル(廃棄物や不要な製品を新しい材料や製品に再生すること)によって古いパンから製造された蒸留酒のマーケティングを担当し、受賞しました。
2020年に設立されたスタートアップ hochBROTzentig は、余ったパンからウォッカやジンなどを製造しています。ここに、高い蒸留技術を持つ、Vodka of the Yearの受賞者Josef Farthoferが加わり、プレミアムでサステナブルなスピリッツが誕生しました。
そして、ブランディングを担当したのがUndeutsch Mediaです。アップサイクルによるサステイナブルな機能性と、ユーモラスなネーミングやキャラクターによるエモーショナルなインパクトを組み合わせた戦略が高評価を得て、受賞に至りました。
プロダクトデザイン(アクセサリー)部門:ROLF – Roland Wolf GmbH
ROLFは、オーストリアのチロルを拠点に活動する国際的なメガネメーカーです。木などの植物や、石、角などを使ったメガネを生産しており、イノベーションとデザイン性が両立した製品が高い評価を受けています。
2021年には、クールな見た目とサステナビリティへの配慮を兼ね備えた、Substance(サブスタンス)というコレクションを発表しました。サブスタンスのベース素材となるのは、遺伝子操作なしに乾燥地帯で栽培され、食用作物と競合することもなく、成長も非常に早い「奇跡の木」です。これにより、これまで以上にサステナブルで環境に優しい製品の開発が可能になりました。
まとめ
本記事では、European Green Awardsの解説と、受賞者の一部をご紹介しました。
それぞれの受賞者が三者三様の角度からサステナビリティに取り組んでいる点は注目に値します。また、一見ニッチに思われる植物性原料のメガネやパンのリサイクルのような領域でも、持続可能性とデザイン性や経済性を両立させることで大きなインパクトを生み出せることがわかりました。
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