世界各国のサステナブルな取り組みを評価・分析するSustainable Development Report(後編)
Sustainable Development Reportは、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けて、国連加盟国の進捗状況を評価・確認するための研究レポートです。特集の後編となる本記事では、2021年版レポートの国別ランキングをご紹介します。
Sustainable Development Reportとは?
Sustainable Development Reportは、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けて、国連加盟国の進捗状況を評価・確認するための研究レポートです。
第7版となる2021年版には、Covid-19からの回復とSDGs達成のための10年間の行動についての分析に加え、各国のSDGsの17目標における取り組みを評価したランキングが掲載されています。
レポートのサマリーは前回の記事で紹介しています。
評価方法
Sustainable Development Reportは、SDGsの公式なモニタリングツールではなく、各国の統計局や国際機関によるSDGsの指標の収集と標準化を補完するものです。そのため、国連や世界銀行などの公式なデータソースに加えて、研究機関やNGOの非公式データソースからも最新のデータを取得しています。
集められたデータから、各国のSDGs Indexという指標が算出されます。SDGs Indexは、17のSDGsにおける各国の総合的なパフォーマンスを評価するもので、各目標に同等の比重を置いています。スコアは、0から100の間でその国がどこに位置するかを意味します。
2021年版には、165カ国のデータが収録されています。2020年版から指標に若干の変更があったため、ランキングとスコアは前年の結果と完全に比較できるものではありません。読者には、総スコアだけでなく、目標や指標レベルでの各国のパフォーマンスとその経過を考慮することが推奨されています。
また、カラフルな配色と矢印で構成されるSDGs Dashboardは、17の目標における各国のパフォーマンスを視覚的に表現したものです。緑、黄、オレンジ、赤の色分けによって、その国が特定の目標の達成にどの程度近づいているかを示しています(緑は目標達成、赤は大きな課題が残っていることを表す)。
ランキング
ここからは、Sustainable Development ReportによるSDGsの進捗度合いを評価した国別ランキングをご紹介します。
1位:フィンランド
165カ国の中で1位に輝いたのはフィンランドです。トータルスコアは、100点満点中85.9点でした。
項目別の評価では、SDGsの目標1「貧困をなくそう」、目標4「質の高い教育をみんなに」、目標6「安全な水とトイレを世界中に」、目標7「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」の4つのゴールが達成され、他の多くのゴールも75点以上の高い達成度となっています。
ただし、目標12「つくる責任、つかう責任」と目標13「気候変動に具体的な対策を」の2つは比較的達成が遅れていました。
2位:スウェーデン
スウェーデンは、100点中85.6点を獲得し、1位のフィンランドと僅差で2位になりました。
SDGsの項目別で達成状態にあるのは、目標1「貧困をなくそう」、目標5「ジェンダー平等を実現しよう」、目標7「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」、目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」の4つです。
しかし、目標2「飢餓をゼロに」、目標12「つくる責任、つかう責任」、目標13「気候変動に具体的な対策を」、目標14「海の豊かさを守ろう」、目標15「陸の豊かさも守ろう」の5つはやや進捗が遅れています。
3位:デンマーク
フィンランドとスウェーデンに続いて、同じく北欧の国家デンマークが84.9点で3位を獲得しました。これらの国は2020年版以前のレポートでも高い評価を得ています。
今回の調査では、目標1「貧困をなくそう」、目標7「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」目標10「人や国の不平等をなくそう」の3つのゴールが達成されました。
一方で、目標2「飢餓をゼロに、」目標12「つくる責任、つかう責任」、目標13「気候変動に具体的な対策を」の達成には多くの課題が残っています。
日本は18位
日本は79.8点で18位でした。
項目別では、目標4「質の高い教育をみんなに」目標9「産業と技術革新の基盤を作ろう」目標16「平和と公正をすべての人に」の3つが達成の評価を受けています。
上位3つの北欧諸国ではいずれも、目標1「貧困をなくそう」や目標7「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」のゴールが達成されていましたが、日本ではそれらの目標の達成率はあまり高くありません。しかし、教育や産業技術に秀で、平和で公正な社会であることがわかります。
一方で、目標5「ジェンダー平等を実現しよう」目標13「気候変動に具体的な対策を」目標14「海の豊かさを守ろう」目標15「陸の豊かさも守ろう」目標17「パートナーシップで目標を実現しよう」では進捗が遅れていました。特に、目標15については前年より後退していると評価されたため、さらなる努力が必要です。
まとめ
本記事では、Sustainable Development Reportによる各国のランキングをご紹介しました。他の国が秀でている領域や、日本が他国より優れていて国際社会に貢献できる領域など、SDGsについての情報収集の際には参考になるレポートです。
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