投資ラウンドとは、投資家が企業に対して行う投資を規模やタイミングによって段階分けした指標です。投資ラウンドの分類に統一的な定義はありませんが、本記事では、エンジェルから、シード、シリーズA・B・Cまでの5段階に分けて解説します。
投資ラウンドとは
投資ラウンド（資金調達ラウンド）とは、投資家（ベンチャーキャピタル）が企業に対して行う投資を規模やタイミングによって段階分けした指標です。投資ラウンドを確認することで、企業の成長度合いを把握することができます。
投資ラウンドは元々シリコンバレーで用いられていた用語ですが、現在は世界中のビジネス・スタートアップ領域で使われています。
投資ラウンドのポイントをしっかりと押さえることで、国や地域を問わず世界中のスタートアップについて理解を深めることができます。
投資ラウンドは、大きく分けて以下の5つのフェーズに分類されます。
- プレシード、エンジェル（Pre-seed, Angel）
- シード（Seed）
- シリーズA（Series A）
- シリーズB（Series B）
- シリーズC（Series C）
各フェーズの解説
ここからは、それぞれの投資フェーズについて解説していきます。
1. プレシード、エンジェル
スタートアップの資金調達において最も早い段階が、プレシードまたはエンジェルです。このフェーズでの資金の供給者は、創業者もしくはその家族やサポーター、あるいはエンジェル投資家と呼ばれる一部の個人投資家になります。
プレシードでの調達金額は、一概には言えませんが、百万から数千万円とされています。ここで集められた資金は、多くの場合、創業費用やプロトタイプの作成費、市場調査などに使用されます。
2. シード
シードラウンドは、ベンチャーキャピタルのような機関投資家などが出資する最初の正式な投資ラウンドです。この段階では、機関投資家は優先株を購入するか、転換社債またはSAFEに投資します。転換社債とは、株が値上がりすれば株式に変換することが可能な社債です。SAFEはSimple Agreement for Future Equityの略で、 転換社債の派生的な投資形態です。
シードラウンドでの資金調達は、シリーズ投資への準備として市場に対してスタートアップの成長力を示すためにも用いられます。
3. シリーズA
シリーズAでは、事業を軌道に乗せて成長・黒字化させていくための運転資金を集めます。コアとなる製品やビジネスモデルを確立し将来性があるものの、拡大するための資金が不足している場合などに、シリーズAでの資本調達が行われます。
シリーズAでの調達金額は数千万円から数億円と言われており、シード期と比較して調達規模が一気に拡大します。この調達によって、企業は資本投下して顧客を増やしスケール拡大をすることが可能になります。
この時期のスタートアップは、従業員数は10人前後の規模です。シリーズAでの資本調達が行われます。
4. シリーズB
シリーズBでは、スタートアップはさらなる成長を目指し、優秀な人材の獲得や設備投資、広告費用などに使用する目的で資金調達を行います。ここでの調達額は、数億円から数十億円になります。
シリーズBに到達しているスタートアップは、事業が軌道に乗って収益も上がり信用が高まっているため、ベンチャーキャピタルに加えて銀行からの融資や補助金なども含めて資金調達を行います。シリーズAと比べて金額がさらに大きくなるため、シリーズBでは複数の資金調達手段を組み合わせて目標金額を集めます。
5. シリーズC
シリーズCは、シリーズBに続く投資ラウンドです。シリーズCに到達したスタートアップは、規模も大きく収益も十分に上げて経営が安定した状態です。シリーズCでの調達金額は数十億円程度になります。
この巨額の融資を調達するために、シンジケートローンと呼ばれる方式が採用されることもあります。シンジケートローンは複数の金融機関が協調して同一条件で資金調達を行う方法です。
シリーズCを通してさらなる調達を行い、スタートアップのゴールとも言えるIPO（株式公開）もしくはM&A（事業売却）を目指します。
まとめ
本記事では、投資ラウンドについて解説しました。投資ラウンドを確認することで、企業・資金調達の規模、事業フェーズなどを知ることができます。また、世界各国のスタートアップについて情報を集める際にも同様の基準を元に判断することが可能です。
海外進出や海外スタートアップとの協働をお考えの際には、投資ラウンドの情報を元に関連するスタートアップについて理解を深めることがより適切な判断につながると言えるでしょう。
