ヨーロッパのサステナビリティ・アワードを紹介します

ヨーロッパでは、気候変動への問題意識が高く、サステナビリティに関する活動が非常に活発でさまざまなイベントが実施されています。

本記事では、ヨーロッパのサステナブルな取り組みを表彰するアワードをご紹介します。イノベーションやテクノロジーに焦点を当てたもの、投資的な効果を重視したもの、都市を表彰するものなど、独自の観点を持つさまざまな賞が運営されています。

ヨーロッパでのサステナブルな取り組み

欧州委員会の調査では、2014年時点でEU市民の95%が環境保護は重要と回答しています。また、Global Sustainable Investment Allianceの2020年度版報告書では、日本のESG投資総額が約2.1兆ドルであるのに対しヨーロッパでは約12兆ドルです。このようにヨーロッパでは環境やサステナビリティへの意識が高く、さまざまな取り組みが行なわれています。

本記事では、ヨーロッパの企業や都市を表彰する「サステナビリティ・アワード」に対象を絞ってご紹介します。

イベントの紹介

Image: Adobe Stock / olga demchishina

EU Sustainable Energy Awards

ヨーロッパの安全なエネルギーの未来を築くことを目的として、2006年に欧州委員会によって開始されたEU Sustainable Energy Weekが、EU Sustainable Energy Awardsを主催しています。表彰の対象となるのは、エネルギー効率と再生可能エネルギー分野で傑出したイノベーションを起こせる個人やプロジェクトです。

受賞のカテゴリーは「エンゲージメント」「イノベーション」「エネルギー分野の女性」「エネルギー分野における若き先駆者」の4つで、専門家の審査員およびヨーロッパ市民による一般投票で決められます。

European Business Awards for Environment

European Business Awards for Environment (EBAE)は、EUの行政執行機関である欧州委員会(European Commission)の環境部局が主催するアワードです。エコ・イノベーションの先端にいる企業や、ビジネスの核に環境尊重を据えている企業を表彰します。

EBAEは隔年で開催され、「マネジメント」「製品とサービス」「ビジネスと生物多様性」など6つの賞があります。1987年にスタートし、2度の名称変更をしながら30年以上継続されている伝統のあるイベントです。

European Green Awards

European Green Awardsは、非営利組織であるEuropean Institute of Applied Sustainabilityによって運営されているイベントです。受賞者のエコで公平な功績を讃えるだけでなく、彼らが優れたサステナビリティの担い手で、未来の形成者であると国際的に認識してもらうことを目指しています。

2021年のイベントでは、21社がノミネートされ、15社が受賞しました。

European Green Cities Awards

European Green Cities Awardsは、都市における公共スペースの緑化を促進するプラットフォームであるGreen Cities Europeが主催しており、ドイツ、フランス、ベルギー、ハンガリーなど欧州13か国の都市緑化プロジェクトが参加します。

前回の2020年大会では、かつての石切り場を多様な植物と滝が調和するエキゾチックな庭園に変えた、フランスの都市ナントが受賞しました。

The CDP Europe Awards

The CDP Europe Awardsは、環境問題対策のために世界の企業や都市をスコアリング評価するCDPが主催するイベントです。気候変動、水の安全、森林保護の3つの分野において、リーダーシップが高く評価され「CDP A リスト」入りした企業や都市が表彰されます。

2021年大会では、2000人以上が参加し講演者として前ドイツ首相のアンゲラ・メルケル氏が登壇するなど、注目の高さが伺えます。

The European Sustainability Awards

The European Sustainability Awardsは、EUの行政執行機関である欧州委員会(European Commission)の環境部局が主催したアワードです。SDGsの具体的な解決策や機会を生み出そうとする人々や企業、組織を表彰しました。

2019年大会では、「人々に力を与え、包括性と平等性を確保する」というテーマの下、24の加盟国から148の応募があり、7つの企業や人々に賞が授与されました。

The Transformative Action Award

この賞は、地域委員会(CoR)と欧州投資銀行(EIB)の支援の下、ICLEI Europe、スペインのバスク州、デンマークの都市オールボーが主催しています。生産的で持続可能な都市の創造を目指したバスク宣言に基づいて、2016年から現在2021年まで5回開催されており、毎年1社が受賞します。

2021年は、住宅と施設の協同組合を運営するLa Titaranyaが受賞し、1万ユーロ(約128万円)の賞金が授与されるとともに各種プロモーションの機会も与えられました。

SDG Tech Awards

SDG Tech Awardは北欧最大のサステナブルイベントで、スタートアップや中小企業、大企業が生み出すサステナブルな技術を表彰し、組織を超えて共創するコミュニティを構築しています。

2019年からデンマークやブラジルで開催され、現在までに4回の開催実績があります。2021年のイベントは11月10日にデンマークのコペンハーゲンで開催され、「サーキュラーエコノミー」「サステナブルな都市」など13部門で13社の受賞者が発表されました。

Sustainability Awards

Sustainability Awardsは、欧州復興開発銀行が主催しています。持続可能なエネルギー」、「気候変動への耐性」、「環境と社会の優れた取り組み」、「環境と社会の革新」、「ジェンダーと経済のインクルージョン」という5つのカテゴリーで、クライアントである銀行の功績を表彰します。

2020年大会では、47のノミネートの中から11か国にわたる16の企業や団体に、金賞、銀賞、銅賞が贈られました。

Sustainable Investment Awards 2021

Sustainable Investment Awardsを主催するEnvironmental Financeは、持続可能な投資やグリーンファイナンス、環境市場で活躍する企業や人々を紹介する、オンラインニュースサイトおよび分析サービスを提供しています。

2021年のアワードでは、「ベストサステナビリティレポート」や「気候変動指標プロバイダー」、「ESGアセスメントツール」などの幅広く詳細な43のカテゴリーにおいて受賞者が決まりました。

Sustainable & ESG Investment Awards

Sustainable & ESG Investment Awardsは、投資専門マガジンのInvestment Weekが運営しています。2021年で15年目になる比較的歴史のある賞で、ESG投資において重要な役割を果たすファンドや、リサーチ・評価グループ、サービスプロバイダーを表彰します。

2021年は、「ベストサステナブル & ESG論文」「ベスト環境・気候変動基金」「ベストサステナブル & ESGファンドマネジメントグループ」など、22の受賞カテゴリーが設けられ、それぞれの受賞者が決定しました。

まとめ

本記事では、ヨーロッパのサステナビリティや環境対策を評価するアワードを紹介しました。イノベーションやテクノロジーに焦点を当てたもの、投資的な効果を重視したもの、都市を表彰するものなど、独自の観点を持つさまざまな賞が運営されています。

賞や主催団体によっては、サステナビリティに取り組む企業や人々のネットワークハブにもなっているので、賞への参加や協賛がつながりを生むきっかけになるかもしれません。

海外スタートアップとの協働や海外進出、サステナビリティに関する事業やレポート作成のご相談などがございましたら、お気軽にお問い合わせください。

世界のおもしろいトップニュースをチェック